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Texas Instruments 技術情報

他社にはない?MSP430の特徴的なペリフェラルの紹介

[最終更新日 : 2017/12/22]


TI社のマイコン、プロセッサ製品

Texas Instruments(以下、TI)社では、ローエンドなマイコンからハイエンドなプロセッサまで、幅広くデジタル製品を展開しています。下記がTI社のマイコン、プロセッサのポートフォリオです。

TI EP Portfolio

MSP430はその中でも最もローエンドで安価なマイコンシリーズです。MSP430はI2CやADCなどの一般的なペリフェラルを持っていますが、中には一風変わったペリフェラルを持った製品がいくつかあります。本記事ではMSP430の特長と特徴的なペリフェラルをいくつか紹介したいと思います。

超低消費電力マイコン MSP430

MSP430は超低消費電力な最大動作周波数25MHzの16bitマイコンです。MSP430には4つの大きな特長があります。

1. 超低消費電力

1つ目は超低消費電力です。MSP430はアクティブ動作時の消費電流が低いのはもちろんのこと、豊富な低消費電力モードを用意しており、必要に応じてCPUや周辺機能を柔軟にオフにすることができます。複数の低消費電力モードをうまく使い分けることで、製品の機能を損なうことなくバッテリーの持続時間を最大限まで引き出すことができるでしょう。

2. 様々な機能を統合

MSP430は低消費電力だけでなく、様々な機能をペリフェラルとして搭載していることも特長の一つです。

ADCをはじめ、オペアンプ、DAC、コンパレータ、LCD、USB、静電容量式タッチセンサーなどを搭載しています。これらの機能をワンチップで実現することで、システムコストの低減に役立てられます。

3. 豊富な製品ラインナップ

MSP430シリーズのラインナップは合計500以上を誇っており、TI社のマイコン、プロセッサの中でも一番デバイス数の多いシリーズです。この豊富なラインナップの中からユーザーの要求仕様に合った最適なデバイスを選ぶことができます。

4. マイコン入門にも最適!安価な開発ツール

MSP430のLaunchPadと呼ばれる評価ボードは、低価格で開発をスタートすることができ、初めてマイコンを触る方にも、まずは実験してみよう!という方にもオススメです。

他にもICソケットを搭載したターゲットソケットボードという評価ボードも用意していますので、使用するデバイスにあった評価ボード、もしくは同等のデバイスが使用できる評価ボードがありますので、デバイス選定時の性能評価なども行いやすい環境が整っています。

MSP430のFRシリーズは様々な先進的な機能を搭載!

MSP430シリーズの500デバイス以上あるデバイスの中でも、際立って消費電力が低い製品群として、MSP430FRシリーズがあります。FRシリーズは、MSP430シリーズの中でも新しい製品であり、プロセスが進み消費電力が大きく下げられただけでなく、次世代メモリFRAMを搭載しています。

マイコンの新しいメモリFRAMとは?

一般的なマイコンでは、FlashとRAMを搭載しています。Flashは、電源を落としてもデータが消えないため、プログラムメモリとして使用されますが、書き込み・読み込み速度が遅く、また、書き込み時はチャージポンプを使用して10~14Vの電圧をかけるので、消費電力が大きくなってしまうことがデメリットとしてあげられます。

RAMは、Flashと違い高速な読み書きが可能で、命令やデータの一時保存として使用されますが、電源を切るとデータは消えてしまいます。

FRAMと他のメモリとの比較

FRAMはFlashとRAMの良いところどりをしたようなメモリです。

FRAMは、電源を落としてもデータが消えず、かつ高速な読み書きが可能なメモリです。また、チャージポンプは不要なので、消費電力も抑えることができます。Flashのメリットも、RAMのメリットも持っていますので、FRAMの領域をRAMとしてもFlashとしても使用することが可能です。

その他にも、FRAMテクノロジーについてまとめられたサイトがこちらにありますので、ご参照ください。

最新!MSP430の4つの特徴的な機能の紹介

先ほど紹介したMSP430FRシリーズはMSP430の中でも新しいシリーズであり、先進的なペリフェラルを持つデバイスを続々とリリースしています。

静電容量タッチセンサーソリューション “CapTIvate”

CapTIvateは、TI社独自の技術を搭載した、静電容量式タッチセンサーソリューションです。

MSP-CAPT-FR2633

スマートフォンの登場により、今ではタッチセンサーやタッチスクリーンを搭載したアプリケーションは目新しいものではなくなりました。物理的なボタンをタッチセンサーにすることで、高い耐久性と先進的なデザイン性を得ることができます。

タッチセンサーの機能をもったマイコンは他社でもありますが、TI社のタッチセンサーマイコンであるCapTIvateは業界で唯一FRAMを搭載しており、低消費電力性能においては大きいアドバンテージを持っています。また、相互容量方式にも対応しており、水に対して誤検出をすることなくタッチセンシングが可能です。

詳細の情報については、下記にリンクをまとめますので、興味のある方は参考にしていただければと思います。

CapTIvateに対応した評価ボードはこちら

高速なFFT、FIRを実現可能な “LEA”

LEAとは、Low Energy Acceleratorの略で、信号処理向けアプリケーションには欠かせないFFT(高速フーリエ変換)演算やFIR、IIRフィルタを実現可能なハードウェアモジュールです。

FFT演算自体はマイコンでも可能ではありましたが、演算に時間がかかってしまったり、演算中の消費電力が高くなってしまったり、といった難点がありました。

MSP430のLEAはマイコンで演算するよりも高速に処理することできますので、短縮できた時間だけ多く低消費電力モードにすることができます。これによって信号処理をしていても低消費電力化に貢献することができます。

LEA

その他LEAの詳細に関しては、下記の記事をご参照ください。

LEAに対応した評価ボードはこちら

超音波センシングソリューション “USS”

USSは、Ultrasonic Sensing Solutionの略で、MSP430で超音波センシングが実現可能なモジュールです。

従来の超音波センシングでは、実現するためにはマイコンに加えて高精度なADCやPGA、パルスジェネレータなど、様々なアナログ部品を組み合わせることが必要でした。しかし、MSP430のUSSはこれらのアナログフロントエンドを統合しており、トランスデューサを接続するだけで超音波センシングを実現することができます。

主に流量計や水位計といった製品をターゲットとした機能です。

USS

USSの評価が可能なキットはこちら

電流センシングが可能な高性能アンプ “TIA”

MSP-EXP430FR2311

TIA(トランスインピーダンス・アンプ)は、レール・ツー・レール出力に対応した電流/電圧変換に使用可能な高性能なアンプです。

通常、電流出力のセンサーに対しては外に電流を電圧に変換するための外付け部品などが必要です。TIAを搭載したMSP430であれば、それらを用いることなく直接接続することができますので、基板面積を低減させ、部品点数、システムコストの削減に貢献することができます。

TIAに対応した評価ボードはこちら

おわりに

本記事ではMSP430の特徴的なペリフェラルについて紹介しました。MSP430には今回紹介したペリフェラル以外にも、SPIやI2C、LCD、ADCなどの一般的なペリフェラルも持っています。500を超える豊富なラインナップをそろえていますが、ほぼすべてのデバイスに対して評価ボードが用意されています。評価ボードも比較的低価格ですので、気になる機能があれば、まずは購入して触ってみてはいかがでしょうか。

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