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ブラシレスDCモーターを誰でも簡単に回せる!TI社製モータードライバDRV1xxxxシリーズ の紹介

[最終更新日 : 2017/11/22]


はじめに

ブラシモーターと比べると、モーターの小型化もでき、メンテナンスフリーのブラシレスDCモーター(以降、BLDCモーター)は、現在ブラシモーターに代わり様々な製品に活用されています。今回はこのBLDCモーターを誰でも簡単に回せるTexas Instruments(以降、TI)社製モータードライバDRV1xxxxシリーズを紹介します。

この記事を読まれている方の中には、これから初めてBLDCモーターを使って開発をされる方もいると思いますが、ご安心ください!初めての方でもこのDRV1xxxxシリーズを使えば簡単にBLDCモーターを回すことができます。

では、このBLDCモーターを回すとき必要となるものは何でしょうか?FET、ゲートドライバ、マイコン、ADコンバーター、電源ICなどが、このモーター制御基板を作成するのに必要なものになります。

一般的なセンサー付きBLDCモーター制御ブロック図

一般的なセンサー付きBLDCモーター制御ブロック図

BLDCモーターを制御するためには、これらのハードウェアの他にマイコンのソフトウェアも必要になります。初めて三相BLDCモーターを制御する方にはハードウェアからソフトウェアまで準備しなければならないものが多数あるため、開発のハードルが高いと感じる方も多いと思います。

しかし、TI社製のモータードライバ DRV109xxを使えば、ハードウェアがモータードライバのみで構成され、ソフトウェアもモータードライバのレジスタ設定をするだけなので、非常に簡単に開発ができるイメージをもてると思います!(実際簡単に開発できます!)

三相センサーレスBLDCモータードライバ DRV10983

DRV10983とは

DRV10983は三相モーターを制御するのに必要なハードウェアをワンチップに集積したTI社製のモータードライバICです。

このデバイス内部の構成を見てみましょう。下図のようにBLDCモーターを制御するためのハードウェアが一つのデバイスに纏まっているのが分かると思います。(機能概要図は見易さのため簡略化したものになっています。)

DRV10983 機能概要図

DRV10983 機能概要図

デバイスの中には、FETとプリドライバが内蔵されており、それを制御するためのロジックコアが入っています。その他、過電流の保護などを行うための保護機能や、電流/電圧をセンシングするためのADコンバーターも内蔵されています。

この内部のロジックコアは、BLDCモーターの逆起電力を内蔵ADコンバーターで取得してFETのスイッチングタイミングをコントロールしたり、外部から入力された速度指令値に従って速度をコントロールしたりしています。この速度指令値はPWM入力、アナログ入力、I2C入力の3パターンから選ぶことが出来ます。また、スイッチングタイミングや、モーターの加速度などの設定は内部のレジスタで設定でき、その設定値は内部のEEPROMに格納することができます。

このように、BLDCモーターを駆動するために必要な機能を搭載していますので、DRV10983を使用すると先ほどの複雑な回路が下図のように非常にシンプルに構成できます。

DRV10983 制御ブロック図

DRV10983 概要 特長

  • 三相ブラシレスDCモーター コントローラ & ドライバー
    • 入力電圧: 8 ~ 28V
    • 駆動電流: 連続2A(ピーク3A)
    • RDS(on) (LS + HS): 250mΩ
    • 180℃ センサーレス制御

  • 柔軟性のあるユーザー・インターフェイスのオプション
    • I2C Interface: コマンドおよびフィードバック用のレジスタ
    • 専用SPEEDピン: アナログまたはPWMの入力に対応
    • 専用FGピン: TACHフィードバックを供給
    • スピンアップ・プロファイルはEEPROMでカスタマイズ可能
    • DIRピンで正逆転制御

  • DC-DC内蔵(100mA , 5V and 3V)
  • スタンバイ・バージョンで3.5mAの供給電流
  • 過電流保護、ロック検出
  • 電圧サージ保護、UVLO保護
  • サーマルシャットダウン保護
  • 熱強化型24ピンHTSSOP

  • ワンチップに機能を集積
    • VREG, コントローラ, ゲートドライバ, FET
    • センサーレス制御によりホールセンサー及びセンス抵抗不要

  • 静音動作
    • 特許取得済の180°正弦波制御アルゴリズム
    • スピンアップ・プロファイルをカスタマイズし、モーターの始動を柔軟に調整可能

  • チューニング
    • MCUを使わずに始動プロファイル等の調整が可能

  • 保護機能
    • 高度な保護機能により、設計の複雑な部分を削減し、システムの高信頼性を実現

  • アプリケーション
    • 機器用ファン
    • 冷暖房空調機器
    • など・・・

※表は横方向にスライドできます。

DRV10983は最大28V連続2A駆動が可能なデバイスで、制御は180°通電のセンサーレス駆動となります。今回はDRV10983の紹介ですが、このDRV1xxxxシリーズには他にも150°通電タイプ、センサー付き駆動にも対応した製品が用意されています。

DRV10983の開発ツール

三相ブラシレスモータードライバ評価ボードDRV10983EVM

DRV10983EVM

DRV10983EVMはGUIを使い、使用するセンサーレスBLDCモーターに対しての最適なチューニングを行うことができます。DRV10983EVMにはDRV10983が搭載された評価ボードと、PCのUSBポートからI2C信号を出力するための基板であるUSB2ANYが同梱されています。

評価ボードの詳細については、こちらをご参照ください。

DRV10983EVMの使い方

ハードウェアセットアップ

下図はこの評価ボードの概要です。

DRV10983EVMセットアップ

この評価ボードの評価を開始するには、図の左側のコネクタに三相BLDCモーターを接続し、必要な電源を入力します。そして、”PC経由でのI2C接続端子”にUSB2ANYのコネクタを接続し、USB2ANYをUSBケーブルでPCと接続します。

ソフトウェアセットアップ

下記のリンクから”DRV109xx Software”を入手してください。

このソフトウェアをPCへインストールするとDRV10983評価用のGUIを使用できるようになります。

GUIを立ち上げると、下図の画面が表示されます。

DRV10983EVM GUI

右下が"CONNECTED"となっていれば、評価ボードとPCの接続ができていることを表します。

IPD Setting Initial Position Detect…モーターの初期位置を検出するための設定
Before Startup モーターの初期速度と逆回転を検知するための設定
Closedloop Setting クローズドループ制御時の設定(速度、加速度、スイッチングタイミングの調整など)
Startup Setting オープンループ制御時の設定(速度、加速度、クローズドループへの切り替えタイミングなど)
Current Limit モーターが加速している時の電流制限の設定
Motor Parameters モーターの抵抗値及び、Kt[V/Hz]の設定

※表は横方向にスライドできます。

ユーザーはこのGUIで上記のウィンドウから各種パラメータを選択すると、その設定がDRV10983内部のレジスタに反映されます。ここで設定したレジスタ値は、画面右下のeeWriteを実行することで、デバイス内部のEEPROMに格納することが出来ます。

各パラメータの最適化方法については下記リンクのマニュアルに詳細が記載されていますので、こちらを参考に最適化を行ってみてください。

豊富なラインナップ

今回はDRV10983のご紹介がメインでしたが、アプリケーションに合わせて最適なデバイスをご利用いただけるように、兄弟デバイスが多数用意されております。下記に一覧にして纏めましたので、製品選定にお役立てください。

型番 概要 Vs
(V)
連続電流
(A)
ピーク電流
(A)
RDS(ON)
(mOhms)
I/F 通電タイプ 温度範囲
(℃)
DRV10866 三相センサーレス
BLDC モータードライバ
1.65~5.5 0.68 0.68 800 PWM 150° -40 to 85
DRV10963 三相センサーレス
BLDC モータードライバ
2.1~5.5 0.5 0.5 1000 PWM 180° -40 to 125
DRV10964 三相センサーレス
BLDC モータードライバ
2.1~5.5 - 0.5 1000 PWM 180° -40 to 125
DRV10970 三相センサー付き
BLDC モータードライバ
5.0~18.0 1 1.5 400 PWM 180° -40 to 125
DRV10975 三相センサーレス
BLDC モータードライバ
6.5~18.0 1.5 2 250 PWM
Analog
I2C
180° -40 to 125
DRV10983 三相センサーレス
BLDC モータードライバ
8.0~28.0 2 3 250 PWM
Analog
I2C
180° -40 to 125
DRV10983-Q1 三相センサーレス
BLDC モータードライバ
6.2~28.0 2 3 250 PWM
Analog
I2C
180° -40 to 125
DRV10987 三相センサーレス
BLDC モータードライバ
6.2~28.0 2 3 250 PWM
Analog
I2C
180° -40 to 85
DRV11873 三相センサーレス
BLDC モータードライバ
5.0~16.0 1.5 2 450 PWM 150° -40 to 85

※表は横方向にスライドできます。

まとめ

本記事では、はじめてBLDCモーターを制御する人にお勧めできるモータードライバICを紹介しました。モータードライバにはモーターを制御する上で必要な機能が盛り込まれていますので、BLDCモーターを制御するのに掛かる工数を短縮できたり、実装面積を小さくできたりといったメリットを得ることができます。また、TI社のDRV10983を始めとするモータードライバは評価ボードやGUIなどの評価環境がそろっています。ご興味をお持ちの方の中で、評価ボードのお見積もりなどをお求めの方は弊社の問い合わせフォームからお問い合わせください。

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