Texas Instruments 技術情報

静電容量センサーとは?仕組みと応用事例の紹介

[最終更新日 : 2017/07/21]


はじめに

こんにちは。

現在さまざまなセンサーの記事を当社ホームページで公開しており、センサーに没頭している日々を送っています。センサーってこんなにたくさん種類があるんだ、こんな原理で動作しているんだ、という発見をみなさまにも少しずつ伝えたいという思いから、今回は静電容量センサーの仕組みとTexas Instruments(以降、TI)社の静電容量センサー製品について紹介したいと思います。

静電容量センサーとは?

静電容量センサーはセンサー用の電極とGND、もしくは人の手などとの間に発生する静電容量の変化から物体を検知する非接触式のセンサーです。センサー用の電極は導電性の金属などであればいいため、低価格、かつ、柔軟性の高いシステム設計が可能です。

静電容量センサーとは?

静電容量センサーを理解する前に、まずはコンデンサについて理解を深めるとよいかもしれません。

コンデンサは電子回路においては一般的な受動部品の1つで、静電容量により電荷を蓄えたり、放出したりする部品です。コンデンサは2つの金属板とそれらに挟まれた誘電体で構成されています。

コンデンサ

コンデンサの持つ静電容量は以下の数式で求めることができます。

コンデンサの静電容量

静電容量(C)は誘電体の比誘電率(ε)と金属板の面積(S)、2つの金属板の距離(D)に影響を受けます。εとSは分子側にありますので、値が増えるとCが増え、値が減るとCが減ります。一方、分母側にあるDは値が増えるとCが減り、値が減るとCが増えます。

静電容量センサーの場合、空気やアクリル板などの誘電体をセンサー用の電極と人間の手などのGND電位の物体ではさむことにより、擬似的なコンデンサが形成され、この擬似コンデンサの静電容量をデバイス内蔵の回路で計測し、デジタル値に変換しています。

前述の式に当てはめた場合、Dの変化はCに影響を与えるため、Cを測定することで人間の手がセンサーに近付いたことや離れたことを判別することができます。

静電容量センサー

TI社の静電容量センサーの特徴と用途

TI社の静電容量センサーには「デジタル・コンバータを内蔵した静電容量センサー」と、「超低消費電力マイコンのMSP430 CapTIvateタッチセンサー」を用いた方法の2つが存在しますが、今回は前者を紹介します。

MSP430 CapTIvateタッチセンサーについては、以下の記事で紹介していますので興味がある方はぜひご覧ください。

FDC1xx, FDC2xx静電容量性/デジタル・コンバータ

FDC1xx、FDC2xxはデジタル・コンバータを内蔵した静電容量センサーです。I2C経由で簡単にコンフィグレーションでき、低価格で柔軟なシステムを実現することができます。

FDC221xは最大28ビットの高分解能に対応した高精度な検出を可能にします。

また、FDC211xは、最大13.3kspsの高いサンプリング・レートを特長とし、高速で移動する物体を検出対象とするアプリケーションにも対応することが可能です。どちらも最大入力容量が250nFと大きく、時間、温度、湿度による環境変化も追跡できます。

FDC1004はサンプリング・レートを抑えることによりアクティブ時の消費電流を抑えた製品です。また、この製品のみシールド機能を搭載しており、外来ノイズの影響を低減することができます。

以下は各製品の概略スペックです。

デバイス型番 FDC2214
FDC2214
FDC2212
FDC2212
FDC2114
FDC2114
FDC2112
FDC2112
FDC1004
FDC1004
チャネル数 4ch 2ch 4ch 2ch 4ch
分解能 28bit 28bit 12bit 12bit 24bit
アクティブ時消費電流(Typ) 2.1mA 2.1mA 2.1mA 2.1mA 0.75mA
入力キャパシタンス容量(Typ) 250,000pF 250,000pF 250,000pF 250,000pF ±15pF
インターフェース I2C I2C I2C I2C I2C
プログラマブル・サンプリングレート(Typ) 40~4,080sps 40~4,080sps 40~13,300sps 40~13,300sps 100/200/400sps
特殊機能 EMI耐性 EMI耐性 EMI耐性 EMI耐性 アクティブ・シールド・ドライバ
供給電圧 2.7~3.6V 2.7~3.6V 2.7~3.6V 2.7~3.6V 3~3.6V
動作温度範囲 -40~+125℃ -40~+125℃ -40~+125℃ -40~+125℃ -40~+125℃
パッケージサイズ 4x4mm 4x4mm 4x4mm 4x4mm 3x3mm
ピン/パッケージ 16WQFN 12WSON 16WQFN 12WSON 10VSSOP
10WSON

応用事例

静電容量センサーを応用することで、人の手などの接近検出(近接センシング)だけでなく、水位検出やジェスチャー認識などが可能となります。

近接センシングにおいては、検出範囲がプレート電極の面積に依存するため、大きなプレート電極を使用することでより遠くの物体を検出でき、50cm程度までの距離/位置を検出することもできます。

水位検出の場合、以下の図のようにプレート電極とGND電極を横に並べることにより水位を測ることができます。水は電気を流しやすく空気は流しにくい(つまり、比誘電率が異なる)ため、水と隣りあっているプレート電極の面積が増えるほど静電容量が増えます。この容量値を計算することで水位を求めよう、というのが静電容量センサーによる水位検出の仕組みです。

水位検出

評価ボードとGUIツール

それぞれの製品毎にFDC2214EVMFDC2114EVMFDC1004EVMという3つの評価ボードが用意されています。この評価ボードにはFDCのほか、制御用マイコンとしてUSBインターフェースを備えたMSP430が搭載されています。FDCが取得したセンサーの情報がI2C経由でMSP430に送信されます。

また、マイコンによる制御に慣れていない方でも簡単に評価できるように、Sensing Solutions EVM GUIが提供されています。PCと評価ボードをUSB接続することで、FDCのレジスタ設定や、測定したデータ表示をGUI上で簡単に取得、表示させることができます。

GUIは下記TIホームページよりダウンロードできます。

http://www.tij.co.jp/tool/jp/fdc2214evm

※GUIのダウンロードにはmyTIアカウントの登録が必要です。

myTIの登録はこちらから

FDC2214EVM
FDC1004EVM

デモの紹介

ここでは実際に動作しているデモ動画を紹介したいと思います。

評価ボードとPCがあればすぐに評価が始められますので、興味のある方は当社にお問合せください。

TI の静電容量式センシング : 世界唯一のノイズ耐性ソリューション

おわりに

今回は静電容量センサーの原理とTI社の製品、応用事例について紹介しました。特に応用事例で紹介した水位検出は河川やダム、貯水槽などの水位測定だけではなく、水以外の液体でも検出できますので、さらなる用途への応用が期待できます。

TI社のWebサイトには今回紹介した情報以外にもさまざまな情報が用意されています。興味のある方は以下の関連情報のリンクからアクセスできますので、ぜひご覧になってみてください。

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