Texas Instruments 技術情報

超低消費電力かつ高精度な温湿度センサーを動かしてみた

[最終更新日 : 2017/06/30]


はじめに

近年、「IoT(Internet of Things)」というワードが広く知れ渡るようになりました。富士エレでもIoTに絡んだ無線製品を特集した記事を紹介し、多くの方に見ていただいています。

今回は、IoTの要素として欠かせないセンサー製品の一つ、Texas Instruments(以下、TI)製の温度センサー付きの湿度センサー「HDC1010」とその評価ボードを使った簡単な動作検証の方法をご紹介します。

温湿度センサーを導入すると・・・

室内環境を整える空調システムには温度、湿度の測定が欠かせません。適切に管理することで、オフィスであれば快適に過ごすことができ、工場であれば、素材の腐敗やカビなどを防ぐことができます。

この温度、湿度の情報をセンサーで測定し、さらにパソコンやクラウドにデータを送信することで、温湿度情報の可視化による分析、制御等が容易に行えるようになります。

HDC1010の特徴は?

特徴1:超低消費電力

一つ目の特徴は低消費電力で動作できるという点です。次のデータはTIが測定した消費電流量になります。

スリープモード時 100nA
11bit相対湿度測定時 710nA
11bit相対湿度測定 および 温度測定時 1300nA

この値であればバッテリー駆動で温湿度を測定するアプリケーションでも十分に利用することができます。

特徴2:高精度

バッテリーでも扱えるほど低消費電力で動作しながら、高精度な測定を実現します。その精度は次の通りです。

相対湿度の精度(標準値) ±2%
温度の精度(標準値) ±0.2℃

特徴3:内部にキャリブレーションデータを保存

HDC1010は湿度センサー、温度センサーのほかにA/Dコンバータ、I2Cインターフェースが搭載されており、外部のマイコンとI2C通信ができます。

さらに、湿度センサー、温度センサーのキャリブレーションデータがデバイス内部のROMに保存されています。工場出荷時に校正されているため、外部マイコンに接続するだけで、I2C経由で相対湿度、温度のデータを高精度に取得できます。

以下の図は、HDC1010と外部マイコンの一般的な接続例になります。

HDC1010ブロック図

実際にHDC1010を動かしてみた

用意するもの

今回は簡単にHDC1010を評価できる以下のものを用意しました。

(1) HDC1010EVM

HDC1010EVM

HDC1010EVMは、USBに接続して簡単にHDC1010を評価できる評価ボードになります。この評価ボードにはHDC1010と、制御用マイコンとしてUSBインターフェースを備えたMSP430F5528が搭載されています。HDC1010で取得した温湿度情報をI2C経由でMSP430F5528が取得し、さらにUSB経由でPCへ送信します。

(2) Sensing Solutions EVM GUI

Sensing Solutions EVM GUIは評価ボードから取得した温湿度データをリアルタイムでグラフ表示させることができます。

GUIは下記TIホームページよりダウンロードできます。

http://www.tij.co.jp/tool/jp/hdc1010evm

※GUIのダウンロードにはmyTIアカウントの登録が必要です。

myTIの登録はこちらから

測定してみた

まずはGUIを立ち上げましょう。

画面左下を確認すると、「Not connected」と表示されています。

Sensing Solutions EVM GUI

次に、HDC1010EVMを接続します。

HDC1010EVMをPCに接続

すると、自動的に「Connected」となります。

Sensing Solutions EVM GUI

では、測定画面を見てみましょう。画面左上の「MENU」より、「Data Streaming」を選びます。

Sensing Solutions EVM GUI

グラフ表示の画面に切り替わりました。画面左上の「Start」をクリックすると、測定が開始されます。

Sensing Solutions EVM GUI

HDC1010で測定した湿度、温度がグラフとなって表示されました。測定したこの日の環境では湿度は54%、温度は27℃という結果でした。

つづいて、指で触った時に湿度、温度がどのように変化するのか確認してみましょう。

表示するデータを「Temperature and Humidity」に変更し、画面左上の「START」を押してHDC1010のチップに指で触れてみます。

湿度、温度ともにゆるやかに上昇しているのが分かります。

Sensing Solutions EVM GUI

生データも確認できます

HDC1010では測定したデータをMSP430に送信しています。MSP430ではそのデータを基に湿度「%」と温度「℃」を計算し、GUI上でグラフにして表示しています。

GUIでは計算する前の生データ(16bitデータ)も表示することができます。左上の「Temperature and Humidity」を「Raw Code」に変更します。

Sensing Solutions EVM GUI

生データでの測定結果もグラフに表示させることができました。生データで分析したい、という方でも簡単設定で取得できます。

さらに高度な使い方もできます

評価ボードの分離

HDC1010EVMは下図の赤枠部分でカットすることができます。カットすることでマイコンと切り離し、遠隔で配線することで、マイコンから発せられる熱質量の影響を排除した状態で測定することもできます。または別のマイコンと接続して使用することも可能になります。

HDC1010EVM

GUIのさまざまな機能

ログファイルの抽出

HDC1010が測定したデータをCSVファイルとして抽出することができます。測定した温度、湿度のデータを分析する際に役立ちます。

Sensing Solutions EVM GUI

レジスタの変更

GUI上でHDC1010の設定情報が保存された「Configuration Register」を変更することができます。初期設定では湿度/温度センサーは14bitの分解能で測定します。分解能の設定を下げることで、より低消費電力で動作させることも可能です。このような設定をGUI上で行うことで、容易にそれぞれの設定での評価をすることができます。

画面左上の「MENU」から「Registers」を選択すると、下図のような画面が出てきます。この画面でレジスタの変更ができます。

Sensing Solutions EVM GUI

おわりに

TIの温湿度センサーを評価ボードとGUIで動かしてみましたが、いかがでしたでしょうか。温湿度センサーの検証、検討が目的であればHDC1010EVMとSensor Solutions EVM GUIがあれば簡単に動作させることができます。IoT機器をはじめとしたアプリケーションに温湿度センサーを取り入れようと考えている方は、是非HDC1010EVMで評価してみてはいかがでしょうか。

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