ステップテクニカ技術情報

最終更新日 2017/10/23

フィールドネットワークのデバッグ&メンテナンスの最適解

覗き見する猫

エッグです。とある開発案件のデバッグでハマりにハマりまくって、毎日終電帰りだった頃はいい思い出です…

製品のデバッグを行うときは、ほんの少し条件が変わっただけで想定外の動きをすることもありますから、なるべく実稼働時と全く同じ条件でテストしたいですよね。CUnetにはそれを実現させる機能が付いています。

CUnetのMEMモードIC(MKY43)は、ネットワークへ参入せずに共有メモリとレジスタの内容を覗き見する機能(モニタリング機能)を装備しており、この機能をGlobal Memory Monitor、通称”GMM”と呼んでいます。

覗き見というとなんだか悪いことをしているようなイメージですが、GMM機能は開発段階の評価や装置のメンテナンス時などに大活躍します。


GMM(Global Memory Monitor)機能とは

GMM機能を簡単に言うと、共有メモリへの書き込みはできないけれど読み込みはできる機能のことです。

GMMで稼働している端末は他のCUnet端末とは一切リンクせず、他のCUnet端末が送信するパケットを受信するだけの状態になります。例えるならば、会議室の隅っこで話を聞いていて、発言権はないけれど会議内容は全て把握している人のような状態でしょうか。

GMMのイメージ図

MEMモードICであるMKY43とMKY40にGMM機能が備わっています。この機能によって稼働しているCUnet端末を”GMMステーション”と呼び、ネットワークの品質を維持できる限り、GMMステーションは1ネットワーク内に何個でも接続することができます。

CUnetの共有メモリをモニタリング

CUnetの共有メモリを覗き見できることのメリットは何でしょうか?

CUnetはネットワーク内のどの端末のメモリ内容を見ても、全く同じデータが共有されています。CUnetは通信プロトコル内蔵でIC自体が自動的にメモリ共有を行っていますので、コントローラ(CPU)は自分の隣にいるMKY43をSRAM感覚でリードするだけでOKです。つまり、動作中のシステムに対してGMM端末を追加すると、そこからネットワーク内の全データのやり取りが見えてしまいます。

しかも、GMMで追加した端末はネットワークの構成端末としてはカウントされないため、CUnet最大接続数である64端末を使用していたとしてもモニタリング専用端末として追加可能で、開発の評価段階で利用可能ですし、トラブル検証や製品メンテナンスなどの事後対応にも使えます。

CUnetのGMM機能

GMMステーションの特徴

GMMステーションの特徴を挙げてみます。

  • ・ネットワークの品質を維持できる限りいくつでも接続可能
  • GMMステーションは1ノードに換算されないため、CUnetプロトコルに定める最大接続可能数64ノードに含まれません。したがって、ネットワークの電気的実力が許容する限り、GMMステーションはいくつでもネットワークへ接続することができます。

  • ・GMMステーションを追加しても通信スピード(サイクルタイム)は変わらない
  • GMMステーションを追加しても通信スピードは変わりません。リサイズされたCUnetネットワーク、例えばFS=3のサイクルに組み込んだとしても、FS=4のサイクルタイムにはならず、FS=3のサイクルタイムのまま評価可能です。

  • ・SA値とOWN値は意味を持たない(どんな値でも良い)
  • GMMステーションになっているCUnet ICには占有エリアの概念が適用されず、ステーションアドレス(SA)と占有幅(OWN)はどんな値でもかまいません。設定していても全て無視されます。

  • ・GMMステーションにおけるデータの書き換えは不可
  • ・GMMステーションにおけるメール送受信は不可
  • 残念ながら、データの書き換えとメール送受信はできません。占有エリアの概念がないため当然といえば当然ですが、少しもったいないところです。

GMM機能の使い方

基本的にはSCR(System Control Register)のGMMビットへ"1"をライトするだけです。MKY43をGMMステーションとして利用する場合は、次の手順でプログラムしてください。

  1. ①SCRのSTARTビットが”0”であることを確認
  2. ②SCRのGMMビットへ”1”をライト

たったこれだけです。もしGMMステーションとしての利用を解除したい場合は、SCRのGMMビットへ"0"をライトすれば解除されます。


どんなシチュエーションで活躍するか

GMM機能は様々な用途が考えられ、全く使わなくても問題ないのですが、開発段階やメンテナンスなどに使用することで大きな効果を発揮します。考え方次第で最近流行りのIoTにも対応可能なため、使い方次第で幅広い応用ができそうです。

開発段階の評価で活躍

ステップテクニカ社のCU-43USBや、サードパーティ製のテクノウェーブ社のCUStation-USBなど、CUnetの評価に役立つツールにはGMM機能が搭載されています。

cu-43usbでのデバッグ

これらの評価キットを使うとき、GMMでCUnetネットワークに参加させれば、実際のシステムと同じ環境(同じサイクルタイム)でテストをしながら共有メモリの内容を確認できるため、開発段階の評価で非常に役立ちます。実際に当社のお客様では、上記の評価キットを使用して様々なケースを想定してデバッグを行っていました。

装置のメンテナンス時に活躍

例えば稼働しているシステムを止めることなく、GMM機能でメンテナンス用CUnet機器を参加させれば、稼働中のシステムの動作に何ら悪影響を与えることなく動作確認をすることができます。

ステップテクニカ製品の推奨インターフェイス回路では、パルストランスを使用しており活線挿抜も可能です。

CUnet活線挿抜可能

不具合発生時の原因究明の場合も、CUnetは動作していないノードを簡単に検出できるため、MFR(Member Flag Register)というレジスタを参照することで、どのノードが稼働していないかをすぐに判断できます。

IoTで活躍

CUnetが世に出てきたのは西暦2000年のことであり、当時からメーカーが意図していたとは言えませんが、GMM機能を使うことで最近流行りのIoTで活躍することもできそうです。

ビッグデータと呼ばれる膨大な量のデータが全てマスタコントローラ側に流れると、コントローラ(CPU)の負荷があまりにも大きくなってしまいシステムとして支障をきたします。

そこでコントローラとは別にデータ処理が可能な端末をGMMで参入させることによって、マスタコントローラ側の負荷を増やすことなくビッグデータを処理できるわけです。また、CUnetにはメール機能という256Byteのピア・ツー・ピア通信機能もあり、合わせて活用することで大きな効果を期待できます。


まとめ

実社会での覗き見は悪いことに感じますが、CUnetの共有メモリ覗き見がどれだけ便利かお分かりいただけたでしょうか。データやり取りの邪魔をせず状況を把握できるため、デバッグ時やメンテナンス時にぜひご活用ください。

お礼

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